技−デジタル復元技術

ポリライト

 これについてはご存知の方は非常に限られますが、NHKテレビのシリーズで、「よみがえる源氏物語絵巻」の復元風景で何度も出てきた、「警察用特殊ライト」と言えばお分かりの方も有ると思います。

 もともと、警察の鑑定のために開発された特殊なライトで、ポリライトとは製品名です。Rofin Austria社と言うオーストラリア製らしく、取り扱いは日立ハイテクトレーディングと言う会社のものです。

このライトは、「紫外線域」から可視光線域を含め「赤外線域」までを、一つの光源でカバーしており、それを内部の特殊なフィルターで制御して、「特定域」だけの光を発することの出来る照明器具です。

 では何故このライトが復元に効果があるのか?もう一度「蛍光撮影」を思い出していただきたいのですが、「蛍光現象」はわたしも今までは、「紫外線域」だから起こる現象だと思っていましたが、実は「可視光線域」においても蛍光現象は起きているらしく、しかしそれらは「一定幅の光」の元では確認できても、可視光線域すべてを含んだ光の下では確認することが出来ないようです。

すこし分かりづらい話なのですが、簡単に言うと舞台照明で赤いライトや青いライトで照らされた状況下では見えるが、太陽光では見えないと思ってください。ただ、それを「精度高くコントロール」できるのがこのポリライトであり、同時に精度の高いフィルターとの組み合わせにより、肉眼や画像として確認できると言うことです。

もともとはこのライトは警察用として開発されたもので、指紋や文章の偽造などの鑑識に使われていたものですが、先ほどの「源氏物語絵巻」の復元に際し、科学調査を担当された「東京文化財研究所」のカメラマンの方が個人的にこのライトに興味を持たれ、いろいろと文化財の撮影時にテストをされて、視覚的には消えた情報であっても、「絵の具の成分」によると蛍光現象を起こすものがあり、それらは光源の波長と、撮影時のフィルターの組み合わせにより、「画像」として記録できることを発見されたらしく、彼はそれらのデーターを蓄積されているものと思われます。

 それ以後文化財関係の「公の研究機関」にはいくつも納品されていますが、しかし民間の文化財の復元例には使われていないとの事でした。縁あってわたくしも使える立場になり、使う機会を覗っておりましたが、先日「古い領収書」の「消えた金額」を知りたいと言う依頼があり、それにポリライトは威力を発揮しました。

詳しくは(資)文化財復元センターのブログhttp://www.fukugen.info/index.php?itemid=18&catid=7に報告してあります。

カラー画像 ポリライト撮影画像
 
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