心−文化財について

文化財の財とは

辞書によりますと、「財産」とは金銭・有価証券や土地・家屋・物品などの金銭的な価値のあるものとされ、一方「財」とはもちろんそう言う物質的な面も有りますが、世の中に数少なく、特に貴重なものと言う一面もあり、必ずしも物質とは限らない様です。
すると「文化財」とは精神的な営みを記録した、世の中に数少なく、特に貴重なものと言い換えることが出来ると思います。
つまり、「形」とか「物質」とかの物理的要因を必要としないものではないでしょうか?
だから、その中で形のあるものを「有形文化財」と言い、形のないものを「無形文化財」と言います。
つまり、本当に大事なのは「物質」ではなく、「文化の記録」としての痕跡ではないでしょうか?
私は物質としての文化財より、そこに残された「精神性の記録」こそ、後世へ伝えるべきものだと思っております。
そのためには、朽ちかけたものは「復元」してこそ価値があり、内容を確認してこそ意味が有ります。

とは言え、わたしは決して文化財の修復を否定するものではありません。

ただ、医学に例えると救える命はいっぱいあり、それは救うべきだと誰しも思うはず、しかし医学の力で元に戻せない末期癌や植物人間と化した人々を、いたずらに「延命処置」で生かすことは賛否両論があると思います。これを文化財に例えるなら、朽ち果てようとする文化財を保存処理を施し、「現状維持」のまま生かし続けることより、そこに残されたヒトも文化財も「生きた証」を、記録として後世に伝えてあげることこそ意味があるのではないでしょうか?
形あるものはいずれ朽ちる運命にあるのが、自然の摂理です。
しかしその生きた証は、今デジタルで永遠に残せます。
ヒトはいずれ死して土へと返りますが、しかしまた新しい命は生まれます。
自然界のすべてのものには寿命があり、いずれ朽ち果てます。
しかし、その屍はエネルギー源となり、新しい生命を誕生させます。


 
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