序−文化財への思い

朽ちゆく文化財を次の世代へ

 世の中には、絵の具が剥げたり、薄くなったり、あるいは黒ずんで、描かれている中身が確認できなくなった神社の絵馬や、お寺の掛け軸、あるいは古文書などの貴重な、文化的価値を有する財産が数多く存在します。
しかし、それらは行政機関の「指定文化財」としての扱いを受けておりません。
そしてそれらに対して「文化財保護予算」は使われることがありませんし、ほとんどの場合は指定を受けるための調査すら行われず、内容が確認できないために、その価値すら認識されることなく、朽ち果てようとしています。

しかしながら、それらの文化財には肉眼では見えないだけで、実は製作された当時の姿を覗わせる「貴重な情報」が残っていることが多くあります。

今まではそれを確認することは困難でしたが、「デジタル技術」の発展に伴い、見えない情報の「視覚化」も可能となりつつあり、このデジタル技術を用いることで、今まで内容が判らないゆえに、価値がないものとして扱われてきた文化財の中にも、後世へ伝えるべき「精神的価値」あるいは、「歴史的価値」を持ったものが発見されることも珍しくありません。

ただ残念ながら、その最先端のデジタル復元技術は、公の研究機関により、多額の予算を投じての「国宝」などにしか応用されることがありません。

しかし国宝は、文化財全体のピラミッドの頂点に位置するものの、実は価値があるにもかかわらず、指定を受けていないものが数多く存在し、わたくしはそれらの文化財に対し、民間の力で「デジタル復元」を2000年より始めております。

この技術はわたくし独自の技術で、類似する技術は他に例を見ません。
しかし悲しいかな独自であるが故に、この技術の存在はまだまだ全国的に知られておりません。
時々取材は受けるものの、普及にはまだまだ時間がかかり、そしてこのデジタル技術はまだ始まったばかりであり、完成されたものでもなく、また一つの技術だけで、すべての文化財が復元できる様な万能なものでもありません。
文化財は、材質も違えば、保存状態も違いますから、それぞれに合った技術を見つける必要があります。

そのデジタル技術を用い「画像」と言う形で、文化財を復元するために、2004年に「(資)文化財復元センター」を設立し、2005年にこの「特定非営利活動法人・画像による文化財復元研究会」を設立いたしました。


大隈 剛由

 
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