「自転車泥棒」αビデオ
1948年のイタリア映画である。
「アラン」ほどではないが、ずいぶんと古い映画である。
この映画、知る人は知るのだが、私が子供の頃お昼の3時ごろから、テレビで洋画をやっていた。
それは1週間、毎日同じ映画をやっていたのだが、最初に見たのはそんな子供時代だと思う。
たぶん、何も感じなかったと思う。
それから、多分「淀川長治」がやっていた時代の「日曜洋画劇場」で、観たように思う。
名作と言われる割には、ストーリーはほとんど覚えていない。
「ネオリアリズム」と言われる時代の代表作とされているらしく、「新・現実主義」と言われるだけあって、当時の人々の貧しさをリアルに描いたものだと思う。
主人公は、長い失業の末にやっとポスター貼りの仕事を得、質屋に預けてあった自転車を引き出した。
その自転車に乗り、ポスター貼りの仕事を始めた初日に、仕事中にその自転車を盗まれた。
彼にはかわいらしい息子がいて、仲間と手分けして、盗まれた自転車を探し始めるが、容疑者らしきものを見つけても証拠がない、
しかし、自転車がないと、仕事が続けられない・・・・
そこで、一緒に探していた息子を先に電車で帰し、自分は他人の自転車を盗む。
ところが逃げる時に捕まるのだが、小さな息子はそれを見ていた。
警察に突き出されようとするのだが、持ち主はその悲しそうな息子の姿を見て、許してくれた。
親子は、悲しそうな顔をしながら、家路につく。
イマドキだったら、こんな面白くもないストーリーでは売れないだろうが、当時はやはり映画も芸術運動の一つとして「現実」を描写していたのだろうし、またそれが受け入れられていたのだろう・・・
でも、やはりこの作品で一番人々を惹きつけるのは、そのかわいらしい息子の、「悲しげな顔」だろう・・・・
(資)文化財復元センター おおくま