以前にも書いたのだが、私は若いころに「ライフワーク」として「舞踏」の写真を撮っていた。
とはいっても社交ダンスや日舞やバレェなどでは無く、どちらかというと始まりはアングラ舞踏なのだが、その後はインド舞踊・朝鮮舞踊・ バリダンス・フラメンコなどの「民族舞踊」が被写体となっていた。
別れた女房とも、バリダンスの教室の発表会の写真を撮った時に知り合った。
嫁さんは実はバリダンスよりもフラメンコを長くやっていて、何度か舞台を撮ったこともある。
私自身は音痴でもあり、踊ることもできないのだが、撮っていると被写体の踊り手がうまいかどうかぐらいはすぐに判る。
踊りは「間」だと思うのだが、動きには「溜め」というのか、必ず強弱があるし、たとえば腕を広げれば、いつか は必ずその手は反対に閉じる方向に動く。
素人が踊りの写真を撮ると、動きが止まらず、流れてしまう。
それを動きがあると思っている人がいるが、しかし本当はそうではなく、タイミングを合わせれば必ず一瞬「止まる」瞬間があ り、それをとらえるのがうまい写真といえる。
で、おかしな話だが、私はカメラのファインダー越しに舞踊を見ることはあっても、カメラを置いて「鑑賞」することができない性 格であった。
つまり「被写体」としてしか踊りを見れないのだが、たとえばテレビで踊りの中継などがあると、私はそれを鑑賞しているのでは なく、「カメラマンの目」としてその踊りを追いかけていて、私だったらこう撮ると思いながら見ていたりする。
だから、昔そんな勉強のためにハリウッドの黄金期のミュージカル映画を何本か見たりした。
さて、この「シャルウィダンス?」は邦画をテレビで10年ほど前に見た覚えがある。
ヒロインの踊りの先生を魅力的だと感じながら見たのだが、Huluの配信の中にハリウッド版の「Shall We Dance?」 があることを初めて知った。
邦画は1996年とすでに20年前になってしまったが、役所広司がずいぶんと若かったのにびっくりした。
いまの彼だったら、また違った味のある作品になったと思うのだが、今回最初にハリウッドのリメイク版を見たが、10年ほど前に邦画を見て、 電車の窓からダンス教室の窓に立つヒロインの姿・・・・
それと同じ場面がハリウッド版にあるのに驚いた。
で、Wikipediaを見ると、かなり邦画に忠実にリメイクされているという。
普通は日本が真似をするのだが、ハリウッドがそのまま真似るのは珍しいと思う。
ただ主人公の.リチャードギアがなんかおとなしすぎる感はあるし、最初にジェニファー・ロペスが演じているらしいが、ヒロインをあまり魅力 的とは思わなかったが、さすがに踊りのシーンとなると、鍛え上げた肉体が見ていて素晴らしいと思った。
で、音楽や踊りをテーマとした作品は当然「見せ場」が踊りであったり演奏会のシーンなのだが、その盛り上げ方はさすがに海外の ほうがうまい。
日本のものはどうしてもそこの部分が見劣りしてしまう。
先日も「カルテット!」という家族4人がピアノ・ビオラ・フルート・バイオリンのカルテットとして家族の絆を取り戻す作品な んだが、肝心の演奏シーンが貧弱で、4人とも役者自身がその楽器を実は弾けないというのが、すぐに判ってしまう。
少なくても海外のものは、少なからず弾ける役者を使っていると思われる。
そん言う意味で、元の邦画は物語の演出は優れているが、しかし舞台姿となると、明らかにハリウッド版に負けていると私は思う。
(資)文化財復元センター おおくま