比較的新しい2013年の邦画である。
主人公は佐藤浩一演じる50歳のカメラメーカーの営業社員。
作品中EOSをはじめ、キャノンのカメラが何度も出てくるから、キャノンの社員という設定だろう。
彼は離婚して大学生の娘と暮らしているが、その娘はバイト先の主任の5歳の男の子が、母親の虐待で、自閉症になりしゃべらないので、その世話を焼いていたが、主人公にその一部を見られ、不倫と誤解される。
ところが、その仕事場の主任は出張のため、主人公と娘はその男の子を一時預かる羽目となる。
しかし、一度味を占めたその子の父親は、再度自分が転職するので子供を預かってほしいと、虫のいいことを言い出す。
主人公は断るが押し付けられながらも、その男の子と心を通わせるようになったものの、父親はその子を母親に渡すといって、また主人公にその役目を押し付ける。
ところがその子の母親は、再婚するから引き取るといいながら、結局引き取りを拒否し、主人公に押し付ける。
主人公は陶器ショップの女主人に気があり、店に出入りするが、そん女主人も実は「バツ1」・・・・・
ただし、深い関係にはなれないのだが、そんな時、主人公が以前にコンテストの作品を褒めて、自分のカメラを与えたカメラマンが、初めての作品集を持ってくる。
一方、主人公は小売店の社長とひょんなことから「親友」となり、飲みながら互いの仕事のことを愚痴る関係となる。
その持ち込まれた写真集を小売店でも扱い、陶器店の女主人も、そしてその自閉症の男の子も気に入る。
そして、それぞれの人生の悩みを抱えたその大人3人と、自閉症の子供の4人連れで、その写真集が撮影されたパキスタンの僻地に旅をする。
それがきっかけで、主人公はその男の子を施設に入れるつもりだったが、女主人はその子の母親になりたいと言い出す。
そして・・・・・
主人公に「父親になってほしい」と、女主人のほうから言い出す。
そのたびで、二人とその男の子は「家族」となる・・・・
なんか、最後は予想通りのハッピーエンドなのだが、それは心和むものの、その男の子の両親が赤の他人にわが子を押し付けて、逃げ去るのだが、この二人の姿を見ていると「しばいたろかぁ・・・・・・」と言いたくなる。
私自身、離婚して親権を女房に渡し、子供の面倒も見ていないのに、こんなことを言えた義理ではないが、しかし人は「人生から学ぶ」ものだと私は思っていて、結婚していた17年間より、離婚してからの短い間に随分と私は学んだ。
連れ合いとは何か?それを考えられる人が、実は離婚経験者にも随分と少ない。
私は多くの人とメールのやり取りや、実際に会い、そして付き合ってきたが、そんなん人と最初に話すことは「離婚の理由」であるが、十中八九の人は「相手が悪い」という。
もちろん離婚当初の私も同じことを言っていたのだが・・・・・
しかし、その人の口から聞く話と、その相手の口からきく話では、逆だったりする。
つまり、すべて「自分の立場」でしか物を見ていないし、考えられないわけだ。
だけど・・・・
私が離婚後学んだことは「自分半分」「相手半分」だということに気が付いた。
自分を認めてほしければ、相手を認める・・・・
そんな判り切ったことができない人が、離婚経験者の大半を占める。
そんな人は、「相手を変える」ことで自分は幸せになれると信じているが、実は変えなければならないのは相手ではなく「自分自身」なのである。
この主人公も女主人もその旅先でそのことに気が付いたから、女主人は不妊症で離婚した経験があるからこそ、その男の子の母親になりたいと願い、主人公を父親になってほしいと願い出る。
そんな関係こそ、一度離婚を経験したものが、経験から学んだことであるので、同じ失敗は繰り返さないと私は信じている。