2011年11月
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大石内蔵助

復元の仕事を初めて間がないころ、直接受けた仕事ではなく、紹介された修復業者の下請けとして、赤穂八幡宮に伝わる絵馬を復元した。

後日、関西テレビの夕方のニュースの特集として取り上げて頂いた中に、この絵馬は入っており、神社には「大石 内蔵助が書いた絵馬」との記録があるらしく、宮司さんは確かめようと依頼されたとの事。

また復元の仕事を初めて 間がないころで、試行錯誤も本当に初期段階で、今見ると、間違いもある。

絵柄としては老僧と子供たちがじゃれ遊ぶようなものであるが、たぶん何かの故事によるものだろう。

実は数年後に、枚方市の「鍵屋資料館」に同じ内容の絵を見つけたことがある。

左右に文字が書かれていたが、当時はそんな文字すら読めず、遮光を当て、読み取れる影をなぞっていくと、あんな形になったが、どうも誤字が多いように思う。

また左に「満治二」という文字があったが、意味すら分からずに復元すると、その神社の宮司さんは博識のある方らしく「大石内蔵助は満治二年」の生まれとの事。

復元の結果は、本人が描いたものではなく、大石家が内蔵助の誕生を祝い、奉納したものではないか?という話に変わってきた。

それでも大石内蔵助ゆかりの絵馬であることは証明された。

2002-10-27 赤穂八幡宮 前
現状画像
2002-10-27 赤穂八幡宮 後
復元画像

ある寺の天井画

  

2年前に復元したものである。

ある人を介し、復元したものであるが、そのお寺、数年前に本堂を建て替えたとの事。

その折、解体した本堂の天井画が捨てられていたという。

  

元教師の住職は、人柄のいい人で、そのまま天井画が捨て去られるのが忍びなく、夜中にこっそり拾い集め、段ボールに入れ隠していたという。

住職はそれを何とか復元したいと、あるプリンターの会社に勤める檀家の方に、 相談したという。

  

それがまわりまわって、うちに来た。

住職は自腹を切って、いくつかの天井画を復元した。

  

しかし、全部で80枚ほどあるという・・・

費用は莫大となり、住職一人の力ではできず、檀家代表に相談したが、なかなか理解されず、残りの貴重な天井画は眠ったままである。

この復元の最大の特徴は、煤にまみれた天井画と、そこに描かれている墨線は、成分が同じ炭素であり、赤外線を使っても分離できない。

ところが、 奇跡が起きた。

  

幾度も試行錯誤を繰り返すうちに、理屈は良くわからないが、なぜか墨線がきれいに分離した。

    

オウム・現状 オウム・復元
   
オシドリ・現状 オシドリ・復元
   
キジ・現状 キジ・復元
   
ボタン・現状 ボタン・復元
   
  

社寺・仏閣等、所有者・管理者様への御提案

これまで多くの文化的価値を有するものを、復元してきた。

この仕事を初めてすでに12年、小さいもの・個人所有のものを含めると、すでに100をゆうに超える。

また、地元の国会議員と文化庁へ紹介にも行った。

されど・・・

文化財保護の補助金は、実物の文化財の修復等には降りても、デジタル復元はその対象として扱われていない。

つまり、費用は全額所有者負担となる。

研究者が行う研究目的の復元は、国の研究費で行われ、ずいぶん高額となるが、うちが行う復元は、実用的に「デジタル画像」という形をとるので、費用は一桁も二桁も下がる。

さりとて、全額所有者負担は、まさに大きな負担となる。

文化財は貴重だとか、 意義があるといくら唱えても、費用が出ていくだけでは、やりたくてもできないところが非常に多い。

そこで最近国の補助金も幅が広くなり、文化財保護だけではなく、「地元の観光資源の活用」名目で補助金が降りたりする。

文化財もその対象となっており、文化財を観光資源として活用することで、費用の一部、あるいはむしろ収益が上がることもある。

そういう制度をうまく活用し、そして「文化財の復元」は多くのマスコミで、大きく取り上げられる。

うまく活用できれば、観光客が増え、拝観料やお賽銭の増加も可能となる。

そんな方法について、(資)文化財復元センターとしての提案書を作りました。

 

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