昨日の日経新聞の社会面に、「文化財、地域まとめて保護」と言う見出しの記事が載った。
「文化審議会」が2006年の11月から、文化財保護のために今後必要な施策を議論する「企画調査会」を立ち上げて、議論を重ねてきたと言う。
このほど検討作業がほぼ終わり、7月にも内容を公表し、一般からの意見を募ると言う。
その内容だが・・・・
もともと私は、「文化財保護」は行政の義務であると思っている。
もちろん「文化財保護法」に基づき、予算を取って行ってはいるのだが、しかしそれは「指定文化財」を対象としている。
つまり「行政」にとっては、文化財とは「指定文化財」以外は存在しないと言う考えなのだと思う。
しかるに、文化財とは『ウィキペディア(Wikipedia)』によると
文化財(ぶんかざい)は、人類の文化、歴史、学術などの見地から価値をもち、保存を要する有形・無形の遺産全般を指す用語である。一般には、国または地方公共団体の指定文化財を指すことが多いが、未指定の文化財のなかにも貴重なものは多数ある。
とある様に「ヒトの営みの記録」全般を指すものであり、その中の「指定文化財」とはピラミッドの上部に位置するものを指すものであるが、だからと言ってその他には価値がないのか?と言うとそうとは言い切れない。
文化財保護法に基づく支援を受けるには、「義務」も課せられる。
つまり文化財保護法には第4条「国民・所有者の心構」の中に
2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。
と、はっきり書かれているように、所有者には「所有権」はあるが「文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し」、とある様に「国民の共有物化」と、そして「これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用」を促しています。
所有者にすれば「国民の共有化」や「公開する義務」が課せられるし、まして公表されれば「盗難」の可能性も増える。
なのに、支援は決して費用の全額ではない。
そう考えた場合、あえて指定を「辞退」するものがあってもおかしくない。
まして、朽ち果てようとしている文化財は中身が確認できない・・・・
それらすべてを含めて「文化財」だとわたしは思っているのだが、しかし行政はそうは思わなかった。
ところが、今回の「企画調査会」はそれにメスを入れた様である。
記事によると「高松塚古墳の劣化問題で明らかになった縦割り行政への反省から、文化財に携わる関係者が緊密に情報を共有することも求める。」とか「提言の草案によると、地方自治体ごとに文化財についての対応方針を定めた「基本構想」を策定するよう提案。すでに国の文化財に指定されているものだけでなく、地域で受け継がれている文化遺産を見つけ出し、幅広く構想に盛り込むべきだとした。」とか、結構思い切った意見を述べている。
まして「文化財保護を充実させるには公的資金に加え、企業や個人からの支援も必要だが、文化審は「国民から寄付を集めて文化財保護を図る団体が十分育っていない」として、寄付の受け皿となる総合窓口の組織を創設すべきだとした。
寄付した人が税制上の優遇処置を受けられるようにすることや、自分の寄付が文化財保護に役立っていることが実感できるような仕組みを取り入れることも重要としている。」
と、まさしく今私がNPOとして取り組もうとしていることと同じ事を、提言してくれている様である。
この記事がうれしくなって、きのう日経新聞の「社会部」へわたしの意見を文化審議会へ届けて欲しいと手紙を送った。
少しは世の中が変わりつつあるようだ。