ネット配信サイトのNETFLIXは、他のサイトに比べ、オリジナル作品やドキュメンタリーなども豊富で、他では見れない作品が多い。
とはいえ、マイリストにいくつも登録し、順番に見ているのだが・・・
このサイト以前にも、他のサイトを随分と梯子しながら、見たいものはほとんど見ており、リストアップしてはあってもなかなか気乗りしないものが残っていた。
それでも毎月新しいものが加わり、それを楽しみに見ているが、この映画、1981年作の自主制作作品らしい・・・
モノクロの作品で、随分と暗いイメージが付きまとう。
時代的に昭和31年の大阪の川べりに暮らす、うどん屋の男の子と、ある日突然対岸に一隻の見慣れぬ船が停まっていた。
その船で暮らす、同じ年の男の子と、その姉を中心にした話なのだが・・・
最初から意味ありげな話だが、知り合ったうどん屋の男の子は、舟の男の子に誘われ船に遊びに行く。
途中足を滑らせ、靴が汚れるのだが、その船の男の子の姉が優しく、足を洗ってくれる。
舟の中に入ると
、一部屋なのだが、どうも奥から母親らしき女の声が聞こえる。
オンナは自分の息子に、友達に黒砂糖をお上げ・・・
そして、あまりここに遊びに来ないように言ってお上げと言う。
母親は声だけで姿を見せないのだが・・・
うどん屋の男の子と船の男の子は仲良くなり、父親に「友達を呼んでええか??」と尋ねる。
父親はその船がいわくつきの船であることを、客から聞いていたが・・・
母親は心配するが、父親は「呼んでいいよ」と言う。
後で母親が心配げに父親に話すが、父親は「子供に罪はない・・」「子供は親を選んで生まれてくることはできない」と、その船の姉と弟を店に遊びに来させ、差別することなくかわいがる。
しかしその姉は・・・
優しくされても、遠慮気味に、自分たちの立場を弁えた様な振る舞いをする。
ある日、うどん屋の男の子は船に遊びに行くが、友達はいない・・・
奥から母親の声がして、息子は水を汲みに行っているけど、こちらに遊びに来ないか?と、奥の部屋に招待する。
そこで初めて母親は顔を出すのだが・・・
実はこの船「廓船」と呼ばれ、母親は売春をして子供たちを育てていた。
で、初めて顔を出した母親を「加賀まりこ」が演じているのだが・・・・
仕事がら粋な浴衣を着て、きれいに化粧をしていてとても美人だった。
で、私もその加賀まりこのあまりにも美しい姿に、思わず見とれてしまった。
その日はそれで終わるのだが・・・
うどん屋の男の子と、舟の男の子は、うどん屋の母親からこづかいを貰い祭りに行くが、こづかいを落とし、その船に戻って少し遊ぶのだが・・・
その男の子は船の子の母親が、男に抱かれている姿を見てしまう・・・
悲しくなって家に戻るのだが、涙がこみ上げる・・・
当然、舟の男の子も、その子が何を見たのか判っているし、少し離れた橋の上で母親の客引きをしていた姉も、その事に気づく。
翌日その廓船は、舟に引かれてそこを出て行く・・・
大人に取ってはさほど問題でもない出来事が、小学3年生の男の子にしてはとても悲しい出来事であり、またその船の姉と弟にとってもやっとできた友達と、母親の仕事の件で別れなければならないと言う、物悲しい物語であった。
この映画、自主制作だが、最終的に東映系列の映画館に6000万で買い取られ、また国内や海外でも多くの賞を取っているらしい・・・
で、この映画の子役たちは、言葉数は多くないが、独特の物悲しさをうまく出しており、ETを作ったスピルバーグが、子役の使い方が旨いと、監督を訪ねてきたらしい・・・
余談だが、加賀まりこは当時大変な売れっ子でスケジュールの調整が付かず、すべてのシーンを6時間で撮り終えたと言う。
(資)文化財復元センター おおくま