NHKの年末の特別企画「丘の上の雲」も 今年で3年目となる。
その登場人物の一人が、正岡子規である。
奈良にご子孫が居られ、資料を持っておられるが、写真アルバムの中に「正岡子規が愛した女性」ではないかと話題になった写真がある。
ところが名前がわからない。
しかし、そのアルバムの写真の横には写真の説明と思われる紙片が貼ってあった。
ところが当時インクで書かれたものだから、すでに文字が薄れていて読めない。
ということで、その人物を特定すべく、その紙片の文字の復元を試みた。
いろんな方法を試行錯誤で試したが、結果として「可視光域蛍光撮影」で文字が見えた。
この撮影法は、NHKの「源氏物語絵巻の復元」のシリーズでも用いられていたが、紫外線の効果と似たところがあり、インクや染料で書かれたものが蛍光を発することが多い。
で、文字は読めたものの・・・
果たしてそれがその女性の名前だろうか?
ちょっと違和感が残る。
どうも、アルバムの違う写真から剥がれ落ち、別の人がそこに貼っていたのではないだろうか?
アルバムに貼られていた紙片 | 復元した紙片 |
今年の話題である。
この技術はもともと警察の鑑識などでも用いられてきたもの。
数か月前に、ある問い合わせメールが入った。
消費者金融の裁判関係の担当者らしく、先ほどの「領収書の復元」を、ネットで検索中に偶然見つけたとのこと。
つまり、彼は「過払い請求訴訟」を起こされている会社の担当者で、証拠として「契約書」を裁判官に提出するのだが、その直筆のサイン部分が、領収書と同じで、完全に消えたものがあり、それは証拠として受け取られないとのこと。
契約は、一人に対し「複数」存在し、それを証明するには、契約書が要るが、サインが消えていると、裁判官は「契約は一つ」として、過払い金額が算定されるらしい。
そうすると、返還金額が百数十万違ってくるという。
その契約書は「ノンカーボン紙」と呼ばれ、数十年前から金融機関や、 行政で用いられてきたが、保存が悪いと文字は消えてしまう。
その契約書を無事復元し、裁判で採用され、結果として、 百数十万円、返還額が減ったという。
それを見せたいが「個人情報」で見せられない。
そこで、その技術を紹介するために「見本画像」をいくつか作った。
ノーカーボンの消えた文字 | ノーカーボンの復元された文字 |
インク消しで改ざんされた領収書 | インク消しの改ざん跡 |
書きなぐられたはがき | 復元された朱文字 |