あいさつ
私が当社の中心事業である「デジタル復元制作」を始めてから、既に十数年の月日が流れました。この仕事のきっかけとなったのは、近くの神社から修復を終えたばかりの、鳳凰を描いた古い板戸の記録撮影を依頼されたのですが、当時は葬儀の遺影などのデジタル画像処理も手掛けており、頼まれたわけでもありませんが、修復されたとはいえ、絵の具の剥げた痛々しい姿のままの鳳凰の姿を、きれいにデジタル修正を行ないました。その修正の仕上がりをお見せすると、とても驚かれ、また大層喜ばれもしました。 そして現在、デジタル復元制作の成果をお見せすると、多くの方々が驚かれます。わたしはもともとプロの写真家ですが、撮影以外にも暗室作業の経験も豊富にあり、さらに写真を始める前は、画家を目指していた時期があります。これらの仕事の経験や趣味が、現在の復元制作に大変役立っております。 対象となる文化財は千差万別です。材料も違えば保存状態も違い、同じものは二つと在りません。その一つ一つに対して、それぞれ違う手法とノウハウを駆使してデジタル復元制作を行ないます。それらのノウハウは最初から私に備わっていたわけではありません。その都度試行錯誤を繰り返す中で、徐々に積み上げられたものであり、好奇心と努力の賜物です。その成果として大阪府の「なにわの名工」、そして京都府の「現代の名工」に選ばれています。 |
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また私は、「文化」とは人の精神的な営みを指し、文化財とはその精神的な営みを記録したものと、独自に解釈いたしております。ゆえに文化財の復元とは、同じ材料・同じ技術に拘ることなく、その精神性こそ復元すべきものと考えています。 このHPは、大切な文化的資料の所有者様、管理者様に、当社の行なっている事業をご理解いただくために作成致しました。当社の理念がどのように復元制作に浸透し、現時点においてどのような成果をあげているか、また、どのような将来図を描き、復元制作に取り組んでいるか、十分にご理解していただき、今後の末永いお付き合いをお願いする次第です。合資会社 文化財復元センター 代表 大隈剛由 |