京都にて2012年2月23,24日と二日間開催される「京都ビジネス交流フェア」へ参加いたします。
インキュベートのみやこ推進事業でのブースをお借りし、特に今年度の復元事業を中心に展示発表します。当日は、大隈もブースにおり、詳しい説明や相談に対応します。
今年度は資料を送らせていただきましたが、資料だけではなかなか実物の存在感は伝わらないもの。また、普段復元を展示してるスタジオは遠いという方、是非この機会に会場へお越しいただき、ご覧ください。
パンフレットなどもご用意しております。
よろしくお願いいたします。
日時:2012年2月23日(木)・24日(金)
10:00〜17:00
場所:京都パルスプラザ(京都府総合見本市会館 京都市伏見区)
(当社は1階 大展示場 インキュベートのみやこ推進事業のブースで展示しています)
詳しくは下記から
京都ビジネス交流フェア2012
これまで多くの文化的価値を有するものを、復元してきた。
この仕事を初めてすでに12年、小さいもの・個人所有のものを含めると、すでに100をゆうに超える。
また、地元の国会議員と文化庁へ紹介にも行った。
されど・・・
文化財保護の補助金は、実物の文化財の修復等には降りても、デジタル復元はその対象として扱われていない。
つまり、費用は全額所有者負担となる。
研究者が行う研究目的の復元は、国の研究費で行われ、ずいぶん高額となるが、うちが行う復元は、実用的に「デジタル画像」という形をとるので、費用は一桁も二桁も下がる。
さりとて、全額所有者負担は、まさに大きな負担となる。
文化財は貴重だとか、 意義があるといくら唱えても、費用が出ていくだけでは、やりたくてもできないところが非常に多い。
そこで最近国の補助金も幅が広くなり、文化財保護だけではなく、「地元の観光資源の活用」名目で補助金が降りたりする。
文化財もその対象となっており、文化財を観光資源として活用することで、費用の一部、あるいはむしろ収益が上がることもある。
そういう制度をうまく活用し、そして「文化財の復元」は多くのマスコミで、大きく取り上げられる。
うまく活用できれば、観光客が増え、拝観料やお賽銭の増加も可能となる。
そんな方法について、(資)文化財復元センターとしての提案書を作りました。
「デジタル画像による文化財復元」という言葉は、多くの方にとって、耳慣れない言葉だと思う。
もともと「写真」の仕事を長年やってきたが、デジタルの普及は、写真をはじめ印刷関係などで、多くの専門職を奪う形となった。
約17年ほど前にPower Macintoshが登場し、写真の世界ではデジタルが普及し始め、写真画像をパソコンで修正できるようになると、露出を間違えた下手な写真も、修正次第で見違えるようになったり、難しかった写真の合成が可能となった。
その技術を用い、当時、葬儀で使う「遺影」の合成を始めた。
日本の遺影は、もともと顔写真を大きく伸ばし、着物は「着せ替え」と言って、絵描きがエァーブラシを用い描いていた。要するに顔は「写真」であり、着物は「絵」であるが、違和感をなくすために、顔の部分もずいぶん修正され、結果として「描かれた遺影」という形で、田舎では鴨居の上に並んでいた。
それがデジタル技術を用い、写真のまま合成できる時代となった。
当時まだデジタルでの遺影を手掛ける業者は、全国でも稀であったが、数年後「薄利多売」の業者が現れ、受注は、じり貧となる。
約12年前に新しい需要を考えていたとき、地元の神社から、修復に出された古い「鳳凰を描いた板戸」の記録撮影を頼まれた。依頼されたのは大型カメラによる撮影であるが、修復されたその板戸は、痛々しく絵の具の剥げたままであった。
そこで撮影した画像をMacに取り込み、Photoshop のスタンプ機能を用い、絵の具の剥げた部分をきれいな部分と置き換え、修正した。
<鳳凰を描いた板戸の現状画像> | <画像修正され、甦った鳳凰を描いた板戸> |
絵の具が剥げた鳳凰の姿は、パソコン上で見事に綺麗に甦った。
それをプリントし、神社の方に見せると、大変驚かれ、また感心された。
その時、こういう需要があることに気付いたが、さりとて営業の方法が分からない。
そこで神社から紹介された、その板戸を修復した業者の話では、「見えないものを見たいという、要望は多い」と言われ、初めて「赤外線撮影」について調べ、そして試行錯誤でテストを何度も繰り返した。
2年ほど掛けて、ある程度技術が出来、その修復業者と組んで営業を開始した。
その後、その業者と別れ、ホームページを立ち上げ、インターネット上で営業活動を行ったが、DMメールを送った社寺の一つから、復元の仕事を得た。
宗像氏貞公御尊影掛け軸・現状画像 | 宗像氏貞公御尊影掛け軸・復元画像 |
DMメールは、全国に及ぶと実際には仕事ができないと思い、ネット上にHPを出されている関西の社寺を中心にメールを出した。
ところが、どういうわけかその中に福岡のお寺が混じっており、そのお寺からの返事だけが返った。
●デジタルアーカイブ
博物館や美術館や公文書館において、文化資源をデジタル化して保存することが1990年台の中ごろから始められた。
物質は必ず劣化するが、デジタルデーターそのものには劣化がなく、「現状」の姿を、デジタル化し、後世に伝えるために行われる。
●復元模写
デジタルが普及する以前は、絵師が肉眼で細部を確認し、肉筆にて復元を行った。
●デジタル画像による復元
デジタルアーカイブが「現状」の姿を残すのに比べ、デジタル画像を用い、当時の姿を「推定復元」するもの。
朽ち果てた姿と化した文化財は、肉眼で見えるもの以外にも、「赤外域」や「紫外域」などの肉眼では確認できない部分にも、多くの痕跡を残しており、それらは「写真画像」として「視覚化」することができる。
それらの情報には、それぞれ特徴があり、それらの違いをアニメのレイヤーの様に重ね、画像処理を加え、当時の姿を画像として復元する。
(資)文化財復元センター 大隈 剛由
デジタルアーカイブとは「デジタルアーカイブについて」にも記させていただいたが、95年の「G7・世界情報インフラ関係閣僚会議」の合意により、日本国政府もいろんな省庁において補助金をだし、研究や事業が行われたらしい・・・
わたくしが文化財復元を始めたのが2000年であり、それ以前の話であり、当時私はまったくそんなことに興味も無く知らなかった。
その主目的は、「文化財の保護と公開」そして「活用」することらしく、文化財は公開することにより、いろんな意味で「劣化」が加速する。
しかし一方では、文化財は広く多くの人に公開されてこそ意味を持つ。
その相反する矛盾を解決する方法として、昔から「レプリカ」を代わりに展示することが多く行われてきた。
しかし、レプリカの制作にはどうしても「人為的作為」が例え無意識であっても入り込んでしまう。
「なにわの名工」ってご存知でしょうか?
かく言うわたしも、なんとなく「ありそうな名前」で、なんとなく聞いたような気もしないでもないが、なにぃ?それ・・・・と思ってしまった。