80年前の家族写真

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古い写真はすでに変色していたり、傷が入っているものが多い。

家族の思い出の写真をきれいにしたいという人は多い。
ネットで検索すれば、たぶんこの手のサービスをしているところも多いと思う。

また最近はフォトショップの機能も随分向上して、簡単に傷などは消せるようになった。

とは言え、実はその機能は万能ではない。

なかなか自分の思うようには仕上がらないし、街の写真屋などが受け付けている「写真の修整」などの安価なサービスは、傷の部分を「スタンプ」といわれる機能で修正する。

スタンプとは、傷のある部分を、傷のない部分を「コピー」してそれを傷の上に貼り付け、「一見きれい」に修正する。

ところが、そんな簡単な傷ばかりではなく、とても細かい情報を、同じような部分を置き換えようにも、置き換える情報が画面内にない場合がある。

集合写真」などは割とそういう状態が多い。

だから、そういう安価なサービスでは「これは修正できません」と言って断るか、あるいは無茶な仕上がりとなる。

しかしながら、その手の写真もきれいに復元できる場合がある。

このやり方は、その元の写真をとても大きなデーターとして取り込み、その画像の「1ドット単位で、修正」していく。

ここではっきりとさせておかなければならないのは、一般的な写真屋で安価に受け付けているのは「写真の修整」という作業であり、当社が受け付けているのは「写真の復元」という作業である。

ではこの差は何か?

私が最初に文化財を画像として復元した時、実は私自身も「復元」という言葉を知らなかった。

もともと、「葬儀用の遺影」の合成をしていた関係で、この仕事を思いついたのだが、コンピューターを使っての「合成」は、アナログよりもきれいに仕上がる。

つまり、剥げたり、黒ずんだりした文化財を「画像」として取り込み、それを「修正・合成」することで、きれいに仕上がった。

ところが、それは「当時の姿」と同じかというと、実は違う。

ただ、「見た目はきれい」に修正したに過ぎない。

どういうことかというと、傷の部分をきれいな部分の情報で「置き換え」ていることになる。

つまり、情報が入れ替わってしまえば、それは「当時の姿」とは言えないことになる。

実はスタンプを使ってキレにい仕上げるのは「修正」であって、「復元」ではない。

この違いはとても大きい。

この考え方を使って、当社では古い写真を「復元」するのであって、「修正」するものではない。

だから手間がかかるから、たぶん個人の感覚からすれば高いと考えられるかもしれない。

しかし、パソコンは「道具」に過ぎなく、この作業には「」を必要とし、「手作業」で「手間」をかけるからこそ、「元の姿」を復元できる。

この写真も随分と手間をかけたからこそ、ここまで復元できているが、しかしながら中央部分に横に走った傷の部分は、すでに元の情報が失われているので、残念ながらその部分は復元できなかった。

 

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