赤外線は赤色より波長の長い光で(700nm~1400nm)、写真としては赤外線フィルムと呼ばれる特殊なフィルムにより記録されてきました。
赤外線は以前から考古学分野でよく使われ、発掘された木簡などに書かれた、消えかかった墨文字の判別に威力を発揮します。
つまり木簡や染料には反応しませんが、顔料や墨などの鉱物性の物質は、赤外線を吸収して、黒く写ります。
木簡表面では消えていても、木の繊維内部には墨の残留物が残っていることが有ります。赤外線は薄いものは透過する性質があり、内部に残った墨を画像として写し出すことが出来ます。ただこれは木材や紙などの内部に浸透して残っている場合で、絵馬堂などに掲げられ、風化して薄くなった墨書きや、板の上に紙を貼り、その上に書かれその紙の部分が剥がれてしまうと、下の板の内部に残っている確率は極端に下がってしまいます。
赤外線をメインとした水墨画の復元過程