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私は何年も前から、ネットの有料動画配信サイトを見ているのだが、昨日U-NEXTでポイントがたまっているので、それを使い「シルクロード 壁画の道をゆく」を見た。
内容的には焼失した「法隆寺金堂壁画」を、東京芸大が開発した「クローン文化財復元」という方法で復元したという話と、その源流をたどってシルクロードの壁画を紹介していたのだが・・・・

実は私の「デジタル画像による文化財復元」は、過去何回となくテレビで紹介されているのだが、その中でも特にNHKで取り上げられたのは、たぶん10回くらいはあると思う。
で、25年前からデジタル復元を手掛けている私としては、ちょっとこの番組にクレームをつけたいと思う。
なんか分かったようでわからない「クローン文化財復元」なんだが、ここでは東京芸大が、「ガラス乾板」から画像をコンピューターに取り込みこれを「高精細画像」として、それに「資料」から「色を転写した」というのだが・・・・
まぁ、その問題は横において置き、それを実物大に印刷し、その上に「顔料」で実際に「描き」、さらにマチュエールの凸凹をつけたらしい・・・
で、結果として「焼失当時」の姿は再現できたのだが・・・
果たしてそれは「復元」と呼べるのか??という問題がある。
で、ネットで調べると「「復元」=はじめに戻すこと。」「「復原」=もとに戻すこと。」と有った。
ほとんど意味は同じなのだが・・・
「はじめに戻す」「もとに戻す」の違いというが、東京芸大のやっているのは「復元」ではなく「復原」ではないだろうか??
つまり「壁画」の制作当時に戻してこそ、「復元」であり、「焼失当時」に戻しただけであるから【復原】ということになる。
もっと言えば、焼失当時の「現状」を再現しただけであり、制作当時の姿に再現したわけではないから、それは復原とも呼べず「レプリカ(複製)」でしかないと私は思う。
この違いはとても大きいことで、すでに京都の有名寺院などの襖絵など、「レプリカ」に置き換えられているものも多いが、それらはあくまでも「現状」を複製したものでしかない。
一方私が手掛けているのは、可能な限りの「制作時の姿」の再現である。
で、続いてその壁画の源流をたどって、シルクロードの壁画を紹介しているのだが・・・・
専門家は「構図」「線描」「模様」と3つのテーマで話は進むが・・・
その中でシルクロードにある「キジル千仏洞」の壁画の復元が出てくる。
確かにそこで剥がされた壁画を、その洞窟の立体レプリカとしてもとの場所に再現しているのだが・・・・
実は私もその近くの「ベゼクリク(柏孜克里克)千仏洞」の壁画を復元したことがある。
これはある大学教授の研究の補佐として、同行時にやったものであるが・・・
東京芸大がやっているのは、あくまでも「レプリカ」であるが、私が目指したものは「制作当時の姿」の再現である。


(資)文化財復元センター おおくま
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