実は昨年末に当社のHPを11年ぶりにリニューアルしたのだが・・・
出来上がった直後に、とある分析会社から問い合わせが入っていた。
その会社の管轄外の分析なので、当社へ問い合わせいただいたようである。
しかしながら、年内には決まらず年を越してからの依頼であった。
(現状写真)
確かによく見ると書かれていたであろう文字の一部は確認できる。
墨文字のようなので、本来「赤外線撮影」で消えた文字の部分や、あるいは黒っぽく変色した板などは確認できることが多い。
早速「赤外線撮影」を試みたが、あいにく何も見えない。
(赤外線撮影)
何度も一文字単位で「拡大撮影」を試みたが、やはり芳しくない。
ただこういう「板」に書かれた墨文字は、墨の成分である「炭素」は消えても、墨に含まれる「膠」により、板の表面が文字の形に「コーティング」された形になり、木部は時間とともに痩せてくるが、文字が書かれた跡はニスを塗ったように痩せないことが多い。
つまり、文字の痕跡が少しだけ凸部となって残ることがある。
それを特殊な技術で浮き上がらせるために、低い位置から光を当てて撮影した。
もちろん、1度で撮れるものではなく、何度も何度も「条件」をかえて撮影し、さらにそれをまた条件を変えて「画像処理」することにより、描かれていた文字はおおむね浮き上がった。
(斜光撮影)
しかし、依頼人は「文字の復元」を望まれているようなので、その痕跡を書き起こした。
(文字の書き起こし)
見事すべての文字は甦った。
(資)文化財復元センター おおくま
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