かなり写真に凝った人でない限り、「赤外線撮影」なんか経験がない。
アナログのフィルムカメラの時代には「赤外線フイルム」というものがあり、「赤外線フィルター」をレンズに被せれば、赤外線撮影は可能であった。
ただ、可視光線とピントの位置が違う。
その分を補正するための「赤外線マーク」というのが、レンズに刻まれていた。
ところが昨今のデジタルカメラでは、原則として赤外線撮影はできない。
つまり、先ほどのピントの位置が違うということを思い出していただければわかるが、実はCCDは赤外域も撮影可能なのだから、その分可視光部分のピントがぼけて見える。
ゆえに最初からCCDには赤外線カットフィルターがセットされている。
このCCDのフィルターを外せば、デジタルでも赤外線撮影は可能となる。
しかし、あいにく35ミリ用のレンズでは、赤外線は写せても、リング状の光源ムラがひどく、レンズを開放でとれば目立たないが、絞り込むと周辺部と真ん中の画質に極端に影響する。
ゆえに、35ミリデジカメによる赤外線撮影は、復元作業には使えない。
なのに、大型ビューカメラによる赤外線撮影は、そのリング状の光源ムラが出ない。
理由を推測すると、ビューカメラ用のレンズには「ピント調整のヘリコイドがついていない。
つまり、どうもレンズの設計上の問題らしい・・・・
と、いうことは??
35ミリのデジカメだって、大型カメラの後ろに取り付けて、大型カメラ用のレンズをつければ、問題なく撮れる。
とは言うものの、大型カメラ用のレンズじゃ、画角が合わない。
そこで考えたのは「引き伸ばしレンズ」である。
昔の暗室作業で使ったレンズは、撮影レンズ以上にピントがいい。
実はビューカメラでもそれを使っているのだが、35ミリ用の引き伸ばしレンズを、35ミリデジカメにつければ、赤外線も問題なく写る。
(資)文化財復元センター おおくま
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