先日話題にした「高松塚古墳壁画集」にポリライトを用いた撮影画像が納められている。
どうも青い光を使い、黄色いフィルターを用いて撮影されたものが多く、それらは「カラー画像」として載せられているが、それと同時に、「赤外線域蛍光画像」と書かれたモノクロ画像も載せられているものがある。
その二つの画像は、一見するとカラー画像をそのままモノクロ画像に置き換えた様にも見える。
つまり同じ部分が蛍光を発しているのである。
ただ、この壁画集には、この「赤外線域蛍光画像」とは別に、「赤外線画像」と書かれたものがいくつも載せられている。
こちらの赤外線画像は、一般的なモノクロの赤外線画像であり見慣れたものであるが、「赤外線域蛍光画像」はそれとは明らかに雰囲気が違い、まるで「ネガ画像」を見ているような印象を受ける。
その本の後書きには、「蛍光撮影」に関する記述があるのだが、肝心な「赤外線域蛍光画像」についてはほとんど触れられていない。
いゃ、この話をするのには訳があり、ポリライトの光は「ある一定幅」に絞られた光を、切り替えながら出すことが出来るらしく、この光と、一般的なタングステンライトに「色フィルター」を掛けた光とは少し意味が違うらしい。
つまり、色フィルターは仮に「黄色フィルター」を掛けたタングステンライトの光だと、実は黄色より上の波長の光も含まれていて「モノトーン」ではないのだが、ポリライトは、黄色以外の波長をすべてカットする形になるらしい。
ところが手元にあるポリライトでは、「可視領域」においてはそう言う波長のコントロールが可能であるが、赤外線域に関しては650?1100nmの光をすべて含む形となる。
そして、その光に対して、波長の違う「赤外線フィルター」を掛けることにより、その波長以下の光はカットできるが、しかしその波長から上は「色フィルター」同様に、すべて含む形となる。
だとしたら、赤外線域での「蛍光画像」っていったいどうやって撮るの?と言う疑問がわくのだが、いくら考えても判らず、メーカーへ問い合わせてみた。
すると、ちょっと意外な話が出てきた。
赤外線域での蛍光は、撮影そのものは赤外線を直接用いるのではなく、仮に可視光線域での蛍光を記録したカラー画像と同じ状況で、つまりたとえば青い光を当てて、黄色いフィルターをカメラに掛けることにより蛍光作用が記録できたとすれば、その同じ状況を撮影する側を「赤外線撮影」と同じ撮影を行うと言うのである。
ちょっと、私自身も聞いていて判りづらかったのだが、本来赤外線光を用いないから、撮影された赤外線画像はほとんど何も写っていない状態になるわけで、つまり肉眼では見える部分も、その画像ではほとんど真っ黒となるから、あたかも「ネガ画像」を見ているような錯覚を起こす。
しかし、その画像の中で唯一写っている部分が、「蛍光作用」を起こして発光している部分と言うことになるらしく、結果としてはポリライトによるカラー画像と同じ部分が光っていることになる。
しかしながら、赤外線撮影することにより「より鮮明」に蛍光作用は記録されることになるようである。
では、赤外域での蛍光で違いが出るのは、他にどんな場合かと聞くと・・・
警察の鑑識での事例として、「焼けた紙に書かれた墨文字」が読み取れたことがあるらしい・・・
どちらも同じ炭素だと思われるが、多分紙には「蛍光物質」が含まれることがあり、それが灰になった状態であっても「蛍光」を発して、墨文字を解読可能としたものと思われる。
もし、この事がもう少し早く私に判っていたら、先日の位牌の復元結果がもう少し良かったかもしれない。
コメント