蒔絵の絵馬

  

これも、ずいぶん以前の話である。

ある神社に奉納されていた「蒔絵」で描かれたと思われる絵馬である。

現状はすでに描かれたものはほとんど消え、わずかにその痕跡が確認できる状態である。

  

さすがに赤外線は役に立たず、当時はデジタルカメラの画質は現在ほど高くなかったので、大型カメラを用いて撮った画像を、 フィルムスキャナーで取り込んだ。

モニター上で拡大し、線を1本1本、タブレットを使って書き起こしていった。

  

蒔絵の絵馬 現状画像 蒔絵の絵馬 復元画像
現状画像 復元画像

  

当時としては精いっぱいの技術であったが、タブレットで書き起こした線は滑らかにつながらず、結果として鶏の羽を描いた線は、ずいぶんと間隔がまばらとなった。

当然蒔絵を描くほどの職人がそんな下手なはずもなく、今から見ると、穴があったら入りたい心境である。

  

  

その後試行錯誤を繰り返し、文字の書き起こしも同じであるが、線画がずいぶん滑らかに描けるようになり、そこに込められた「作者の思い」がより復元できるようになった。

 

蒔絵の絵馬・拡大画像 虚空蔵菩薩像・拡大
蒔絵の絵馬の拡大画像 虚空蔵菩薩像の拡大画像

   

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①-復元例
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