2007年から2008年にかけての話である。
この復元の対象物の多くは、社寺などの宗教関係の所有物である。
12年前にこの仕事を始めた当初は、新しい技術であり、すぐに普及するものと考えていた。
しかし、なかなか普及せず苦慮しているのだが、もともと何百年も続くところが多く、保守的であるからこそ現在まで維持されたと思われる。
ただ、この技術を必要とされている社寺も多く、逆にネットからわが社へ問い合わせて頂くところと、こちらから資料を送っても何の反応もないところと極端にわかれる。
しかし、そういう寺社も、 間に「紹介者」があると、話がスムーズに進む。
この話も紹介者が居られ、副住職とよく「そば」を食べに行かれるらしい・・・
この虚空蔵菩薩像は、約1メートルほどの円形の板絵であるが、もともと空海も修業をしたといわれる「求聞持法」と言われる荒行のために、本来は行者自ら描き、これを前にして行を行うものとの事。
しかし、この板絵は、専門の絵師によるものではないかとの事。
また、絵の具のほとんどがすでに剥げ落ちていたが、これは昔法輪寺が火災に見舞われた折、燃えないように「水」をかけて持ち出されたようで、その熱のために剥げ落ちたものと考えられる。
状況がとても悪く、法輪寺から枚方のスタジオへ移動すれば、残った絵の具もはがれる恐れがあるとのことで、法輪寺内の建物の中で、約1か月をかけ、現状画像・赤外線画像・紫外線画像・遮光画像など、800dpiという超解像度の撮影をおこなった。
まず1200万画素のデジカメを、4×5のビューカメラの後部に取り付け、移動しながら撮影し、それをつなぎ合わせたが、とても手間のかかる作業であった。
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