これも古い話である。
復元技術の中に「蛍光撮影」というものがあると述べたが、本来「蛍光」とは、ある物質に紫外線を当てると、その物質が光を発することがあり、それを蛍光と呼ぶのだが、近年、紫外線は物質を劣化させる恐れがあり、文化財の世界では嫌われる。
そこで、紫外線を使わなくても、「可視光域」の特殊な波長と 、ある種のフィルターを用いることで「蛍光作用」を記録できることがある。
これは文化財ではないが、ある大手飲料水メーカーの古い領収書で、書かれていた文字はまったく見えなくなっている。
しかし、会社としては何の領収書なのかを知りたいという。
いろいろ試したが、結局「可視光域内蛍光撮影法」で文字が読めた。
昭和49年発行の「100,000円」の領収書であった。
余談であるが、この復元のために頂いた費用も、同じ金額だった。
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