本来なら、今頃すでに放送済みになっている、「みんなのニュース」の終戦70年企画の一つである「戦時郵便」の復元だが、許可が出ているので、こちらで公表する。
最初の予定では18通復元することになっていたが、何分墨書きやペン書きで書かれたもので、今のようにボールペンと違い凸凹を確認できない。
素人はなんでも赤外線で撮れば、見えてくると思うのだろうが、消えた部分が見えることはあっても、逆に消された墨が消えることはありえない。
それは紫外線を使っても同じで、撮影の仕方で消し墨が消えることはありえない。
つまり、不可能と思われることに私は挑んでいることになるのだが、しかし世の中に「不可能」など存在しない。
そう信じて試行錯誤を繰り返すことで、私の復元技術は進歩してきた。
今回の墨で消された文字の復元もその極みという事になるのだが、肉眼ではなんとなく下の文字が見えそうなものから、作業を開始したのだが、しかしながらそんなものでも思うように復元できず、数日が過ぎた。
その間、考えられることはいろいろ試していると、少しコツがわかり始め、いくつかのはがきの復元を完成させた。
ところが本来一番復元してもらいたいものが2枚あるという。
その2枚とも、随分と消されていて、ちょっとやそっとでは下のものが読み取れない。
しかも2重、3重に墨で消されたものなど、墨が厚すぎて到底下の文字は読めない。
それでも何度も何度も試行錯誤を繰り返し、「最終復元」の完成へとたどり着いた。
ところが解読者はそれを「読めるレベルではない」とあっさりと蹴った・・・・
その2枚のはがきの最終復元に至るいくつかの復元も、今回比較のために掲載する。
この最終復元に至るまでに、多くのやり直しをしている。
さらにもう一つは消し墨の薄いところは復元できるが、2重、3重に消された部分は何度やっても、墨の下が見えなかったが。最終的にその部分にも濃淡が確認できるところまで復元できた。
ここに至るまでの試行錯誤
(資)文化財復元センター おおくま
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