不思議なガソリン

復元の仕事を始めて、ずいぶんと不思議な経験をしてきた。

本来無信心であり、迷信っぽいものにも興味がないのだが、自分が経験したことに関しては、否定できないものがある。

今回もこの復元の仕事と深い関わりのある宗像大社の「最後の大宮司・宗像氏貞公のご尊影掛け軸」を、氏貞公の墓のある承福寺から10年前に依頼され、また10年後の今回、縁がつながり、再復元を行った。

宗像大社はもともと沖ノ島を発祥とするが、現在は普段は立ち入り禁止であり、大島からその姿を見ることができる。

宗像大社には過去20回近く参っているし、大島へも過去3回行っているが、沖ノ島は一度も見えなかった。

それが今回、1か月前に、復元の途中経過を承福寺に報告に行くに当たり、大島へも渡ってみた。

当日は小雨が降り、沖ノ島は見えないものと思ったが、なんと初めて沖ノ島を目にすることができた。

10年間、再復元を待っていた氏貞公の、せめてものご褒美ではないだろうか?

それは、考えすぎと思われるかもしれないが、不思議な出来事を何度も経験すると「ありうる」話と思う。

承福寺に行く前に氏貞公の墓に参り、復元結果を報告し、住職の埜村さんにひげがあることを報告し、完成画像について打ち合わせを済ませ、そのままいつものように高千穂へ向かった。

高千穂神社と、くるふし神社に手を合わせ、とんぼ返りで帰路に就いたが・・・・

行きと帰りではコースが違い、帰りは別府経由となる。

いつも高速を使わず、地道を1600キロほど走るのだが、車は燃費のいいホンダのモビリオに乗り換えた。

いつもガソリンは安いところを探して入れるのだが、ふと出雲大社に寄ってみようと思ったら、「現金・138円」と書いた大きな看板が、突然目に飛び込んできた。

1か月前は安いところで141円だったので、あわてて飛び込んだ。

最近のガソリンスタンドは大型化したものがほとんどなのに、そのスタンドはいまどき珍しく、狭いスタンドだった。

当然安売りをするのだから「セルフ」が当たり前なのだが・・・・

どういうわけか?そこには大勢のスタッフがいた。

その全員が、いまどきのガソリンスタンドでは目にすることのない、地味なダークグレーのつなぎの作業着を着ている。

実際に給油したのは3人ほどなのだが、目の前にさらに4~5人のスタッフが、突っ立ったままこっちを見ていた。

なんか・・・

ともも不自然な雰囲気がそこにはあった。

その中の一人は、上司なのか、後ろのほうで黙ってみていたのだが、よくコメディタッチの映画で、ギャングが出てくるが、いかにもそれらしく振舞うのだが、全く似合わない姿が登場する。

まさにそんな雰囲気で、スタンドマンを一生懸命演じているけど、見るからに不自然に見えたりした。

とても、あやしい・・・・

ちょっと気になるので、不正をしないか?バックミラーで作業を見ていたり、支払いの金額をチェックしたが、何も問題なかった。

不信感は残ったまま、その足で150キロ遠回りになる出雲大社へ向かった。

それからが不思議な現象が起こったのだが、本来このモビリオ、中古で買った時は1リッターで12キロを切っていた。

それをいろいろと手を入れて14キロまで伸ばした。

燃費計は誤差が大きく、その数値から15%位マイナスしたのが、実際の燃費となる。

つまり、燃費計では15~16キロを調子のいい時でも指している。

もちろん、その時の九州行もそんな数字だった。

ところが、その見るからに「怪しい」スタッフが大勢いたスタンドで給油した途端、燃費計の数値が徐々に上がり始めた。

最大値が20.1まで上がり、おおむね19.9をキープしていた。

あり得ないことなのだが、実質17~18キロの燃費を意味する。

メーターの故障もありうると思ったが、なんとその出雲大社に寄り道するだけのガソリン代が、おかげでタダになった。

実際、それだけの距離を走っているから、メーターの故障じゃない。

 

京都にたどり着き、こちらで行きつけのスタンドで入れたら、また15~16キロの数値を指す。

まさか、ハイオクを間違えて入れたのか?と考えてみたが、レシートは間違いなく138円となっているし、大勢の人間がいるのに間違えるはずもない。

そうすると、あのガソリンはなんなんだろう・・・・

笑われるかもしれないが、ひげ面の氏貞公が、復元のお礼に、勇猛な家臣たちに、つなぎを着せ、ガソリンを入れさせたと考えてしまった。

そんな経験をしたのだが、果たしてそのガソリンスタンドは、本当に実在したのだろうか?

当人も気になるし、この話を眉唾で読まれている人も気になるところ・・・・

1か月後の先週・・・

復元の完成画像を承福寺に届け、そしていつものように高千穂へ向かい、手を合わせたらその夜のうちにとんぼ返りで、帰路に就いた。

そして、朝の7時過ぎに、ちょうどその怪しいスタンドの近くへさしかかった。

すると、目の前に「138円」と書いた大きな看板が、また目に入った。

実在したんだ・・・・・

と、思い、スタンド内を見るが、朝の開店前と見え、怪しいスタンドマンの姿はなかった。

ただ、通り過ぎる時に、事務所内に人影があったから、間違いなく営業しているスタンドだと思う。

そこで入れそびれたので、また安いガソリンスタンドを探して走っていたら、100キロほど先に「138円」という看板が目に入り、給油に立ち寄った。

こんどはちゃんとしたエニオスの看板が出た「セルフ」のスタンドだった。

ただ、カードの扱いが違い、手間取ったら、中からフッーのスタッフが出てきてサポートしてくれた。

さてさて・・・・

そのフッーのガソリンスタンドで入れたガソリンが、また驚異的な数値を示しだした。

1か月前と同じ現象がまた起きた。

今度は寄り道せず帰ったが、燃費計はなんと20キロを超えた数字を示し、平均しても19キロ台後半を帰るまでキープしていた。

前回は、見るからに怪しいスタッフを登場させ、僕に見破られたので、今回は復元完成のお礼に、今度は「セルフの給油機」に化けたと見える。

今朝、行きつけのガソリンスタンドで給油し、燃費の計算をしてみた。

606キロ走って、34.7リッターの燃料を消耗しているので、計算したら17.5キロの実質燃費となった。

モビリオではあり得ない数値を、また九州から帰りの給油に限り示した。

今朝ガソリンを入れた途端、燃費計はいつもの15~16キロに戻った。

 

カテゴリー
②-共時性・不思議な話
シェアする

コメント

タイトルとURLをコピーしました