ご存知の方は少ないと思うが、中国・新疆ウイグル自治区にあり、ベゼクリクは「柏孜克里克」と書くらしい・・・
僕はもともと写真をやっていたとき、モノクロ写真の現像法「ゾーンシステム」にのめり込んだ時期がある。
白黒写真の諧調をコントロールする方法であるが、一般的に「飛ばず・潰れず」というのが、技術の高さを物語る。
しかし、それを逆手に取り、水墨画の山水画の世界を、モノクロ写真で表現できる。
これらは中国の実在する世界であるが、当時はその「実在する水墨画の世界」に興味があったが、現在は中国の文化遺産に興味を持っている。
しかし、中国という国は、なかなか入り込める世界ではない。
たまたま、ある学者の研究の手伝いで、新疆ウイグル自治区へ行った。
当時、暴動の直後で、町の観光施設は閑古鳥が鳴いていた。
日本の研究者が中国で研究するには、現地の文物局の許可が必要で、事前申請しても、現地に行かないとなかなか許可が下りなかったりするらしい・・・
当時、現地の文物局の代表者は、その研究者の研究内容より、僕の復元技術に高い興味を示した。
ぜひ、「テストしてほしい」というのだが、彼らはお金は一切出す気がないらしい・・・
でも、こちらも実績を作る意味でこの「テスト復元」を引き受けた。
場所は、数年前にNHKの「新シルクロード」の目玉として「洞窟壁画の復元」が放送されたが、同じ場所だが、ベゼクリク千仏洞にはいくつもの洞窟があり、壁画が描かれていたのだが、そのいくつかは、世界各国の探検隊により剥ぎ取られ、持ち帰られたとのこと。
日本でも「大谷探検隊」も当時持ち帰ったとのことですが、現物は日本国内に無いのではないだろうか?
で、そのNHKの番組内で、復元を担当されたのが、龍谷大・岡田教授だが、教授が復元されたのは、各国に持ち帰られた壁画を「ジグソーパズル」の様に組み合わせ、現地の洞窟に描かれた居た様子を、デジタル復元されている。
ところが、現地の洞窟には、はがされずに、土に埋まったままの壁画がいくつかあり、現在そのいくつかは見学できる。
その洞窟の「31屈」と呼ばれる壁画の一部を、テスト復元した。
壁画は、剥がされたわけでも、消えかけているわけでもなく、まだ部分的に土がついた状態で、これ以上土を取ると、壁画が痛むのか?
土の下にはきれいな壁画が残されている。
それを土の上から画像だけで復元した。
当日の撮影時間も限られ、また機材も限られていたので、撮ったのは「カラー画像」と「赤外線画像」だけである。
赤外線は、薄いものは透過するが、土が厚く乗った部分は透過しなかった。
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