後半は、また彼女の癒しの力と死にゆく人の話から始まる。
この本が出版されたのは1995年らしい。
そして先日読んだ「死にゆく者からの言葉」が出たのが1993年との事。
著者の講演が終わった後、一人の女性が訪ねてきた。
その彼女は52歳でご主人を癌で亡くされたとの事。
当時55歳のご主人は実業家で、事業は順風満帆で、立派な邸宅に住み裕福な暮らしだった。
ところが精密検査で、余命1~3か月と診断された。
しかしご主人は自覚がなく健康だと思っていた。
彼女はそれを知り、残りの人生の「思いでアルバム作り」を思いつき、ご主人に癌であることを告げ、会社は長男に任せ二人で3週間のヨーロッパツァーに旅立った。
最初ご主人は死を受け入れなかったが、徐々に気持ちも変わり「生まれ変わったら、もう一度結婚したい」彼女に告げられるまでになり、そして2か月後に天国に旅立った。
それから彼女は自分の人生を見直し、立派な邸宅と豪華な家具は手放し、季節ごとに分けた衣服の入る4つの大きなトランクだけを持ち、質素なマンションに引っ越し、そしてボランティア活動に専念しているとの事。
人は死を前にすると、欲を捨て、残りの人生を悔いが残らないように生きる。
この本には「死にゆく者からの言葉」を読んだ人と、筆者のかかわりの話がいくつか出てくる。
阪神大震災の時、西宮に住む看護婦は、自分の自宅から勤め先の病院へすぐに駆けつけるのだが、しかし家を出た途端に数人の被災者と出会うが、自分一人では連れて歩けない。
そこで、助けを読んでくると言って、一人で病院へ向かった。
しかし、病院にはすでに人で埋まっていて、その人たちの世話だけで3日徹夜になるありさま。
彼女はそれから自分が置いてきた被災者のことを考えると、罪の意識にさいなまれた。
そして彼女の彼は、実は一流商社でアフリカにブルトーザーを売りに行くと、現地の飢餓に瀕した人たちから「水をくれ」と何人も寄ってきた。
彼は帰国後、自分はアフリカでそんな人がいるにもかかわらず、ゴルフ場を作り、そこの芝に水を撒くためのブルトーザーを売っている。
そんな仕事が嫌になり、会社を辞めたいと彼女に言った。
すると彼女は何をきれいごと言ってるの?どこの会社でも利益を求める限り一緒よ!!と、彼が仕事を辞めるのを止めたと言う。
でも、その彼はこの震災で寮がつぶれて亡くなったと言う。
あの時、自分が会社を辞めるのを止めなかったら、彼は寮にはいないはず・・・
彼を殺したのは自分だと、また責める。
彼女はあの時、実は結婚するかもしれない相手が、一流商社マンで無くなることを嫌がったのだと言う。
いずれ彼女は「生きていて良かったですね」と励ます医者や、被災者たちの気持ちが理解できるようになり、「自分と人の命を大切にしたい、そして人の役に立つ自分になりたい」と、生きる喜びをかみしめられるようになった。
こんな話がいくつか出てくるのだが、私はまたAmazonで鈴木秀子さんの著書を検索した。
今まで、私は数人の人からそれぞれ多くを学んできた。
HRRY山科山科氏、そしてエハン・デラヴィ氏、そしてこれからは鈴木秀子さんから、多くを学ぼうと、また5冊ほど本を注文した。
とはいっても古本なのだが、全ての本が1円から売られているのが、悲しいね・・・・
こんな自分の人生の糧になる内容の書かれた本の、価値がわからない人が余りにも多すぎる・・・
著者は「あとがき」に記しているのだが、21世紀を前にしてアメリカでの「人間学の学会」に出席した。
冒頭
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歴史が始まって以来、人類は未曽有の時期に直面しています。
人間の誕生以来、人類は常に自分の外へ目を向け続けてきました。
自分の外に幸福があると信じ、自分の周りにモノをつくりだすことで、自分を満たそうとしてきました。
今、人類は新しい意識の時代に入っています。
それは、自分の外の世界に目を向け続けてきた人類が、歴史上初めて、人間の内部に目を向け始めたことを意味します。
つまり、人類として、人間の深見に、人間の存在の深みに焦点を合わせ始めたのです。
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と言う挨拶が始まったが、その学界には全世界から4千人が集まったと言う。
最後に筆者はこんな話を載せている。
海の中の魚が、空飛ぶ大きな鳥に「きみは広い世界を知っているだろう。海とはどんなものか教えてくれないか?」「僕も一度海を見てみたい」
すると鳥は「君が一番海のことを知っているだろう。 だって君は海の中にいるんだから」
(資)文化財復元センター おおくま
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