「建築認可證」の印の復元依頼

9月の末に横浜の建築関係の業者から、問い合わせの電話を頂いた。

何やら古い建築申請の書類に押されている「印」が、見えなくなっているらしい・・・・
大事な印なので、読めるようにしてほしいとのこと。

普通だったらその書類を送ってもらうのだが、当人がわざわざ横浜から新幹線に乗って持ってくると言う。

来られて話を伺うと、昭和24年の建築許可の書類に、数センチの認可印らしきものが押されているのだが、それがほとんど見えなくなっていて、役所が許可を出さないらしい・・・

その印の復元依頼なのだが、その印が復元てきて役所が認めると、土地の価値が3倍に跳ね上がるという。

時々裁判に絡む復元依頼があるが、それらも「証拠」として認められれば、数百万以上が動く可能性もある。

今回も東京の30坪の土地らしいが、1坪100万としても3000万であるが、これが3倍の価値になるのだから、ただ事ではない。

その業者は、その印を読めるようにするために、最初は図書館に相談したらしい・・・・
すると今度は図書館はゼロックスを紹介したという。

ところがゼロックスもできないので、ゼロックスがうちを紹介したらしい・・・・・

で、わざわざ横浜から2往復されたのだが、この作業も並大抵の作業ではなく、1億3千万画素のデジカメで、現状画像と蛍光撮影画像、そして紫外線画像、最後に赤外線画像を撮ったのだが、全くそれらには復元できる情報が無かった。

現状画像 蛍光撮影画像
現状画像 蛍光撮影画像
紫外線撮影画像 赤外線画像
紫外線撮影画像 赤外線撮影画像

普通なら、「痕跡は残っていません」と報告して終わるのだが、最近は不可能と思えば不可能であるが、可能と思えば、それは可能となるという事で、顕微鏡を覗くような作業で、朱肉の痕跡をひらう作業を始めた。

そして最初に復元したものを、メールで添付して見せたが、もっと何とかなりませんか?
つまり、それくらいでは役所もOKしないかもしれないと言われ、さらに1億3千万画素の画像を立った数センチの印の復元のために、4枚繋いで拡大し、さらに復元したのが、2回目の復元画像だが・・・・

1回目復元画像 2回目復元画像
1回目復元画像 2回目復元画像

それでも納得されず、さらに今度は部分拡大で針の先の大きさほどの朱肉の痕跡を拾い出した。

確かに「建」という字と「可」と「證」の字は、何となくそう読めるのだが、それだけでは役人には読めない可能性もあり、似たような書体の文字を横に並べ、それと比較すれば読めるようにした。

ここまで丸2週間がかかったが・・・・

それでももう少し何とかしてほしいと泣きつかれ、さらに追加料金を頂く形で、さらに拡大し痕跡を探した。
同時に斜光撮影も行っており、印の凹みの痕跡を探したが、目に見えてくっきりとわかるものもあまりない。

とはいえ、何とかしないといけないので、朱肉の痕跡を繋ぐと、印の文字らしいものも、もう少し復元てきた。

3回目復元画像 3-復元画像 のメール用
3回目復元画像 4回目復元画像

それで依頼主も納得し、本日横浜から新幹線で取りに来られた。

(資)文化財復元センター  おおくま

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①-復元例
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