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②-復元技術

「生成AI」とモノクロ写真のカラー化って??

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最近私は「生成AI」の悪口ばかり書いている。

私は「デジタル画像による文化財復元」という、とても特殊な仕事をしている。

この仕事をしているのは、ネットで検索する限り世界中で私独りだと思う。

その仕事と深くかかわる話なんだが・・・

私はもう50年ほど前から、「写真」を趣味と仕事としてきたのだが、かといって専門教育を受けたことも、誰かに弟子入りしたこともなく、「独学」でここまでの知識と技術を身に着けた。

若いころは「アナログ写真」の時代に、「モノクロ写真」にのめり込んだ時期がある。

モノクロ写真、単に「白黒写真」とは違うんだよね・・・・

白と黒の間に「グレー」という「諧調」があり、表見の幅がとても広い。

で、「銀塩写真」には長い歴史があり、その時代云云において、進化してきて、最終的にはデジタル写真に移る前の「モノクロ写真」の時代に入るわけだが、例えば明治時代に撮られたらしい写真は「オルソマチック」と呼ばれるフイルムで、「青」と「緑」には感じるが『赤』には感じないんだよね・・・・

それに対して「パンクロマチック」と呼ばれたのが、現代のモノクロフィルムなのだけど、これは「青」「緑」そして「赤」までかんじるもの。

その違いは古い写真って「赤」が感じないから、人物を撮ると「顔が真っ黒」になるわけよ・・・・

それをカバーするために「フイルム」に、鉛筆で「修正」する必要性があった。

しかし現代のパンクロマチックでは、顔は自然な明るさに写るから「修正」は不要になったわけ・・・・

で、これとは別に「印画紙」にも、「冷黒調」「純黒調」そして「人像用(温黒調)」などの違いが実はある。

つまり「白黒」の世界と一口に言っても「感色性」が一つじゃないんよ・・・・

これは

を見ればわかるんだけど、実は「カラーチャート」を一般的な「モノクロ画像」として撮ったものと「赤外線写真」として撮ったもの、「紫外線写真」として撮ったものでは、同じ例えば「赤」として撮った3種類の「モノクロ画像」って、実は全然「グレー」の濃度が違うんよね・・・・

これってとても重要なことなんよ!!

で、前置きを終えて「生成AIによるモノクロ写真のカラー化」にやっと入るんだけど・・・・

昔からアナログのモノクロ写真のカラー化は、あることはあった。

それは「人着」と言って、人の力でモノクロ写真に「染料」で色を付けるわけ・・・・

で「人の力」だから、例えば「肌色」だとか「木々の緑色」とかは、ちゃんと判断できたんだけど・・・・・

でも結局は「カラー写真らしく」見えただけ・・・・

で、最近の「生成AI」におけるカラー化は、どうもネットで調べると「カラー写真」と、同じ画像の「モノクロ画像」を何種類も覚えさせるらしい・・・・

それらの『比較』から、「色を割り出す」ということらしい・・・・

当然そんな「AI」には「形の判断」なんかもインプットされていると思われる。

だから・・・・

「古い白黒写真」を入力すると、「形の判断」能力もあり、「顔」だとか「木々」などの区別も加えられ、「総合判断」として「カラー化」されるらしい・・・・

だから古い写真のカラー化は可能となるのだが・・・・

実はそれはほんとの意味の、モノクロ写真のカラー化とは言えないんよね・・・・

いゃ、もっとはっきり言うと「本当の色」ではないわけよ!!

確かに「同一のカラー画像とモノクロ画像」の対をもとにすれば、その再現された「カラー画像」は限りなく実際の色に近い。

だけど・・・・・

もともと古い「白黒写真」って、「対になるカラー写真」って存在しないわけよ・・・・

ましては時代により「感色性」も違うし、その上「ネガ修正」もされているわけで・・・・・

そうすると「生成AI」では、例えば「顔」だとか「木々」だとかの「形」の判断から、「色を割り出している」だけなんよ・・・・

もっと言うと「着ている服」のいろなんて、実際には判っていないのに、「もっともらしくカラー化」されているわけ・・・・

つまりそこには「」が紛れ込んでいるわけ・・・・

素人は「その程度のことなんてどうでもいいこと」だと思うよね???

でもこれってとても「大問題」なんよ!!

で、ここでまた話は変わって、私の仕事の「デジタル画像による文化財復元」に絡んでくるわけだけど・・・・

「写真」って、「存在しないものは写らない」という「大原則」があって、「目に見えない」領域の「赤外線域」や「紫外線域」に写っているということは・・・・

過去には「ちゃんと存在していた証拠」なんよ!!

それに対して「CG」というのがあるが、これは「絵」だから、存在しないものでもいくらでも描けるわけよ・・・・

つまり「CG 」にはいくらでも「嘘」が描けるわけよ!!

この違いはとても大きなことなんだけど、「生成AI」はこの「嘘」を平気で作り出しているわけよ・・・・

あたかも「真実」のように見える「嘘」を・・・・・

でもこのことは例えば100年ほどたつと、「生成AIによる嘘」が歴史上の「真実とごっちゃにされる可能性」があるわけ・・・・

そこんとこ、とても大事な話なんよ!!

くまさん

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