この映画も音楽映画と言える。
1996年のイギリス映画らしい・・・
物語は1992年の炭鉱閉鎖問題で揺れるイングランド北部の町。
そこに実在したブラスバンドの話らしい・・・
日本でも炭鉱を舞台とした「黄色いハンカチ」と言う名作があるが、どこの国でも炭鉱の閉鎖は、労働者にとって死活問題なのだが、その炭鉱労働者を中心とし、100年の実績を誇り、全英選手権の優勝経験のある、実在するバンドを舞台として展開される。
仕事がなくなるかどうかの瀬戸際では、趣味のバンド活動なんてやって居られない・・・・
そんな苦境に立たされているバンドに、ある日若い女性メンバーが加わる。
彼女のおじいさんが、そのバンドの元メンバーで、男ばかりのバントに紅一点となるのだが、実はこのバンドのメンバーの一人と、子供の頃に関わりが有った。
その二人の関係と、そのバンドリーダーの存在がこの物語の中心となる。
新しく加わった女性は、実は炭鉱の会社側にやとわれた炭鉱の調査員なのだが、彼女自身は労働者の味方であるが、彼女の仕事を知ったメンバーの中には彼女を敵だとみる者もいた。
また彼女が14歳の時、その若い男から襲われ強姦未遂が有ったが、どうも彼女はその男をもともと好きだったらしく、この町に帰ってきたらしい・・・・
一方バンドリーダーにとっては、仕事の事より「音楽」が大事なのだが、他のメンバーにとっては、生活の方が大事である。
そんな摩擦の中、ブラスバンドのコンクールを勝ち進むが、決勝を前にバンドリーダーは倒れる。
メンバーは生活のために、一時決勝出場を止めようとするが、女性メンバーの退職金寄付があり、費用が捻出され決勝戦に出場し、優勝する。
その会場に病院を抜け出したバンドリーダーは、優勝トロフィの受け取りを辞退すると、その会場でマイクを持つ。
バンドリーダーは、自分たちは炭鉱労働者だが、閉鎖になり無職であるが優勝できた。
政府は我々を見捨てたと、会場の人々に向かって訴えた。
観客は立ち上がり拍手を送るが・・・・
さりとて、閉鎖が解除されるわけでもなく、事態は好転することもなく、幕を閉じる。
このラストの決勝での演奏が、やはり見せ場ではあるが・・・・
そこはハリウッドの映画と違い、イギリス人の性格か、あるいは炭鉱問題だからか?
かなり、地味な映画だと思う。
(資)文化財復元センター おおくま
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