以前にもNHKの番組では、当社の技術を紹介してもらっているが・・・
今回は復元画像だけ使われるとのこと。
日時7月7日 夜8時から
「歴史秘話ヒストリア」
http://www4.nhk.or.jp/historia/
内容としては後醍醐天皇についてらしく、以前にもこの番組で取り上げられた「笠置寺・弥勒磨崖仏」の復元画像が取り上げられるとのこと・・・
但し当社の名前は、番組の最後に協力者としてひょうじされるだけ・・・
(資)文化財復元センター おおくま
去年の暮れから正月にかけて、一つの仕事が飛び込んできた。
何やら遺言書の消された部分を読めないかと言う問い合わせである。
私も何度も上から消された文字の復元経験はあるが、しかし実物からではなく、コピーからとの話であった。
早速送ってもらった原稿を1億3千万画素のデジカメで撮ってみた。
すると・・・・
このコピー機は、微妙な濃淡を、トナーの濃度で表現するものではなく、新聞の写真印刷と同じ「網点」の大小で、グレーを表現するものであった。
濃淡は網点で表現されている |
つまり、実物からの復元作業で有れば、元の下の文字のインクなり、墨なりに微妙な色がついていたり、上から消された線でも下の文字との濃度差や色調の差があるので、それをもとに作業が可能となることも多い。
ところが今回は、原稿自体がコピーであり、トナーの黒一色で、しかも濃淡は網点の大きさで表現されているものだから、画像処理の段階で、切り分けることができなかった。
本来、諦めるべきなのだが・・・
元々この復元の仕事は、一つの完成した技術があるわけではなく、すべては現状が違うので、それぞれに合った方法を「試行錯誤」で探し出して、ここまで技術を伸ばしてきた。
そこで考えられることは、ある程度の部分で、下に書かれている文字の見当がついているので、それ上から消された線を「人力」で消していくことにした。
私としても前代未聞の経験であるが、何度かやり直していると、文章としてつじつまが合う文字が判ってくる。
そうなれば、あとはその文字を探し出す作業となり、最終的には全て読み取ることができた。
現状画像 | 復元画像 |
(資)文化財復元センター おおくま
連休前に問い合わせのメールが入った。
何やら30年前の高校時代のクラスの「文集」がある。
しかし、随分と薄くなっているページもあり、何とかデジタル化して、当時のみんなに配りたいと・・・
こういう「思いで」の復元を望まれる人は多いが、なかなか予算的に折り合いがつかない。
しかし今回、何とか折り合いが付き、復元することになったのだが・・・
思ったよりもページ数も多いのだが、実はこの文集は卒業文集じゃないらしい・・・
どうも1年何組とか書いてあるのだが、しかし各ページを読み込みながら、少し見ていくとどのページも文字が高校生にしてはとても纏まった字を書いていたり、また各ページに似顔絵や漫画が描かれているのだが、これもまたどれを見ても素人が書いたものとは思えない・・・
仕事を終え、データーを送るときに、依頼主にその件を伝えたら・・・
何やら当時のメンバーの中に、現在「絵本作家」になったものが居て、その人が中心に創られているらしい。
それにしていまどきの高校生や大学生より、よほど読みやすい文字を書いていると思う。
現状画像 | 復元画像 |
現状画像 | 復元画像 |
(資)文化財復元センター おおくま