遠藤周作の小説で、小説そのものは1957年に発表された。
映画化は1986年に「日本ヘラルド映画」によって、制作されたらしい・・・
この映画、Wikipediaによると第37回ベルリン国際映画祭・銀熊賞審査員グランプリ部門受賞作とある。
何やら題名から、日本軍が戦時中に開発した「毒ガス」の話しかと思いながら見始めた。
ところが、大学病院の外科で軍部から頼まれ、「米兵捕虜の生体解剖」と言う話が出た。
この話・・・
何やら聞き覚えと言うか、映像で見たような記憶があるのだが・・・・
さりとてこの映画を見た記憶もない。
原作者の遠藤周作は御存じの方も多いと思うが、クリスチャンである。
この小説は、実話に基づくが、細部は変えられているらしい・・・
で、要するに大学病院の権力争いが絡んでおり、執刀教授以外に何人もの医者、そして看護婦が手術を行ったが、のちに軍事裁判にかけられ
死刑を言い渡されるが、朝鮮戦争がはじまり、全員釈放されたと言う。
で、何故私はこの話を聞き覚えがあったのか?ネットで検索した。
すると、NHKのドキュメンタリーとして放送されていた。
私はこの作品に導かれたと思っている。
私はよく不思議な体験をする。
その結果「目に見えない不思議な力」の存在を否定できなくなった。
それを「神」と呼ぶか「ほとけ」と呼ぶか、あるいは別の呼び方があるのかもしれない。
ただ、私は自分の人生から多くを学んだ。
その一つに、人の人生は決して自分一人で決められるものではなく、多くの事と関わりがあるということ。
そして「導かれる」と言う言葉があるのだが、私は最近まで世の中は間違っていると思いつつも、どうせ政治の力では変えようが無いと諦めていた。
ところが昨今やたらと戦時中の日本兵は正しかったとか、林田民子や杉原千畝の美談をネットで目にすることがある。
しかも、従軍慰安部問題や、南京大虐殺の話にまで「事実無根」とやたらと騒ぐ。
私も日本人だし、愛国心はあるし、震災の時の日本人の行動などが海外で評価される。
そういうことについては日本人として誇りに思う。
ただ・・・
私は人は善人の塊も悪人の塊もいない。
いずれの人にも両方宿っているし、物事は「客観的」に判断するものだと思っている。
だから最近facebookなどで、あまりにも露骨なネット右翼の発言に、正面切った反対意見を出し始めた。
これもその一つなのだが、今日「海と毒薬」と言う30年前の映画を見た。
この作品、つい最近になり目に入ったものであるが、その内容を再度ネットで探すと、この動画にたどり着いた。
私はこれは「導かれた」ものだと思っている。
現在、選挙前にやたらと「愛国心」とか「日本国民として恥ずかしくない」「防衛のため・・」とか、やたらと日本国民を一つの方向へと纏めようとする動きが目につく。
しかし、本気で日本の近代史を調べだすと、定説と裏の歴史が違うことに気が付く。
戦時中も「アジアのために戦った」と、のたまわれているが、しかし戦争で他国のためにわざわざ戦うことなどありえず、必ずそこには「国益」を求め「略奪」が存在する。
これは世界史を見ればわかるとおりだが、何故か最近日本の戦争目的をきれいごとだけ並べる動きがある。
先日オバマが広島で有意義な演説をしたのに、まだそれを「戦争責任」とか「生体実験」とか言う、「被害者」意識だけをむき出しにして、相手を責める。
しかしながら我々日本人も「米軍捕虜の生体実験」と言う、作り話ではない経験を持つ。
執刀した医師たちは死刑判決を受けるが、数年後釈放されたが、これを指示したのは「軍部」であると言う記録が残っている。
果たして日本国内においてさえ、こういう「残虐行為」をした軍人が果たして中国や南方において、ネット右翼が言うように「善良」で有り続けただろうか?
この話の当時の医学生と、その犠牲になったB29の生き残りの機長が、戦後会って話したらしいが、彼は家族のだれにも自分が日本を爆撃したとは伝えなかったし、この主人公が日本に一度来ないかと尋ねた時、その機長は「私は二度と日本の土を踏めない」と言った。
言えることは、彼らアメリカ人だって、上官の命令で逆らえなかったし、この主人公の医学生もそして執刀した医師も「軍部」には逆らえなかった。
これが今改憲で言われている「全体主義」の行き着く先にあるもの・・・
そしてもう一つ大事なことは、マスコミの出す情報には「意図」があり、また反対側の話しにも「意図」があると、何度も言ってきたが、だからと言ってマスコミの番組すべてが嘘ばかりではないし、反対意見だって都合の悪いことは言わない・・・
この番組は2015年12月12日に放送されたもので、NHKだって、ちゃんとした番組も作っていることは理解すべきだと思う。
(資)文化財復元センター おおくま
http://www.dailymotion.com/video/x3hzq8o