最近マスコミで多く取り上げられるが、しかし以前より反応が少ない。
もう7~8年前になるが、同時期にたまたま「関西テレビ」と「NHK」の取材が続き、そしてそれは同時に、放送も同じ日の夕方のニュースの中の「特集」として取り上げられた。
翌日多くの問い合わせがあり、その一人から「写真」の復元の話が出た。
写真の復元は、それ以前からPhotoshop のスタンプ機能を用い、写真屋でも行われていた。
方法としては、傷の部分を、横の傷のない部分から拾い、傷の上に重ねる。
多くの写真はそれで「復元」ではなく「修正」できる。
一般人にとって、写真そのものが「きれい」になれば、それが元の姿であるか否か?は、さほど問題ではない。
ところがその時持ち込まれた写真は、戦前の家族写真で、そこに映る長女が、両親の写真が他に無いとのこと。
昔は写真はとても高いもので、プリントそのものも名刺サイズくらいのものだった。
で、仕事を受けたものの、一般的なスタンプ機能では復元できる状態ではなかった。
つまり、あまりにも傷が多く、またその傷をふさぐ「元の部分」が存在しない。
僕の復元術は、一つの技術ですべてを復元するものではなく、いろんな技術を組み合わせ、試行錯誤をしながら、「新しい方法」を見つけ出すものであり、需要があればそれを可能とする方法を見つけ出す。
そこで考えついたのが、置き換える部分がないなら、その傷そのものを直すしか方法がない。
つまり、その名刺ほどの写真をスキャナーを使い「高解像度」で取り込んだ。
それをモニター上で拡大し、「ドット」の一つ一つが確認できる状態にして、そのドットの一つ一つに対して、修正を加えていった。
ドット単位だから、隣の情報に影響はない。
つまり、写真全体として、「情報を置き換えない」から、それは元の姿を維持する形となり、「修正」ではなく「復元」と呼ぶことができる。
約1週間かけ写真の復元は完成した。
60年前の家族写真の現状画像 | 60年前の家族写真の復元画像 |
(資)文化財復元センター 大隈 剛由