ビッグフィッシュ・NETFLIX
先日、「人生で学ぶべきもの・こころのチキンスープ その2」の中で、こんな話を紹介した。
パパは何でも知っている。
4歳・・・僕のパパは、なんでもできるんだぞ。
5歳・・・僕のパパは、何でも知っているんだぞ。
6歳・・・僕のパパは、君のパパより頭がいいんだぞ。
8歳・・・僕のパパにも、知らないことがあるんだね。
10歳・・パパが育ったころと今とは、だいぶ違うんだよな。
12歳・・あぁ、しょうがないさ。 知らなくても無理ないよ。 だってパパは歳だもの。 自分が子供だった頃の事なんて覚えていないのさ。
14歳・・パパの言うことなんか、気にしなくてもいいんだよ。 古いんだから。
21歳・・えっ、僕の父さん?もうどうしょうもなく時代遅れさ。
25歳・・父さんにも、少しはわかっているみたいさ。 でも、そんなの当たり前だよね。 あれだけ長生きしているんだもの。
30歳・・父さんの考えも、きいたほうがいいんじゃないかな。 何と言っても、経験があるからね。
35歳・・父さんに聞くまで、僕は何もしないからね。
40歳・・父さんならこんな時どうしただろう? すごく知識も経験もほうふだったものな。
50歳・・もし父さんを生き返らせることができるなら、何も惜しまない。 そうすれば父さんに相談できるんだがな。 父さんがあれほど賢い人だったなんて、むかしはまるで気が付かなかった。 もっといろんなことをおしえてもらえたのに。
アン・ランダース
つまり、一つの事柄でも、人は歳とともに人生から学び、年相応に受け取り方が変わると言う話なのだが・・・この作品は2003年の作品だが、まさにそれを地でいくお話である。
よく話好きの男が、話を誇張して、尾ひれを付けて、面白おかしく語って聞かせる。
そんな男は世界中にどこにもいるものだが、この主人公は息子なのだと思うが、子供のころに父親が寝る前にいろんな話を聞かせてくれた。
その話、まさに子供のころには面白かったが、やがて主人公は20代・30代の大人になる。
その主人公の結婚式のスピーチにまで、父親はそんな子供のころに聞かされた「荒唐無稽」の話をし、出席者からは喜ばれたが、当の花婿の自分より目立ってしまう。
息子は結婚式の後、父親に「そんな作り話、もう二度と聞きたくない」といい、3年間父親と疎遠になる。
ある時、母親から父親が病床に伏したと連絡があり、身重の奥さんと駆けつける。
その病床のベッドの中でも、相変わらず父親はそんな荒唐無稽の話を、主人公の奥さんに話してきかす。
でも、奥さんはそんな父親の温かい人柄に惹かれ、楽しそうに父親の話を聞く。
母親も主人公の奥さんも、そんな父親のファンだが、当の主人公は、「作り話」としか受け取れない。
しかし、父親の付添いの間に、周りの人の話や、父親の書斎に残る記録から、あながちその話が作り話ではないことを知る。
主人公は少し父親を見る目が変わり始めるのだが、荒唐無稽な話も、実は実話に尾ひれがつき、面白おかしく父親が演出していたことに気付く。
そして、父親の最後が近づいた時、父親が息子に「自分が死ぬ場面」の話を、創って聞かせてくれと、逆に頼む。
息子は話の出だしだけ父親に聞き、その後は自分も父親と同じように、父親の最期を、父親の話で出てきた仲間たちに囲まれ、そして川の中に入り、ビックフィッシュとなって、水に帰っていくと言う物語を聞かせ、父親は息を引き取る。
で、実際に父親の葬儀には、父親が語ってくれた物語の主人公たちが、話よりもスケールは多少は小さいが、実在し最後の見送りに駆け付けた。
まさに、上の話をそのまま「絵」にした物語なのだが・・・
あれほど、父親の作り話を嫌がっていた主人公の息子は、結局自分が父親となりその息子に、父親のような「荒唐無稽」の話を聞かせる・・・
(資)文化財復元センター おおくま