アメリカの財団・その後2
先週、わが社の顧問を通して、アメリカの財団にその復元の理解と支援のお願いメールを出した。
当日、自動返信メールが返るところ、また翌日に支援の範囲が違うとか地域が違うから、支援できないという返事が数通返った。
そして昨夜も1通、「当財団の支援地域は、国内の財団のある地域に限られる」とちゃんと返事を返して頂いた。
まだ返事をもらった数は、送った数の一部でしかないが、国外の全くアメリカの文化とは関係のない「日本の文化」に対して、支援を申し出ること自体が、本来なら厚かましい話だと自覚してはいる。
しかし、アメリカのいくつかの財団は、自らの利益とは無関係の国外の活動にも支援をされているようで、そういう姿には頭が下がる。
ある人曰く、「アメリカには誇れる長い歴史や文化がないから、他国の文化に魅かれる」と聞いたことがある。
一方その対極にあるのが、中国だと思うが、数千年という歴史と誇るべき文化遺産はとても多く、それらは中国国民に限らず、人類の残すべき遺産だと思う。
だから、私はその作業の手伝いを申し出ているのだが、肝心な中国政府も現代の中国の人々も、どうもそういう意識が乏しいと見えて、なかなか実現しない。
ただ、この日本だって、海外にはODAや青年海外協力隊などの技術支援を多く行ってはいるのだが、肝心な国内の「残さなければならない文化遺産」に対する理解は、政府もそして所有者の方々も、まだまだ熱心とは言えないように思える。
私は本来、祖先(民族)の気づいた文化を次の世代に受け渡すことは、その子孫(民族)の使命だと思っている。
つまり、文化とは優劣をつけられるものではなく、ある「くくり」の固有のものだと考えているので、言い換えればそれを本当に理解できるのは、そのくくりに属する人々だろうと思う。
だからこそ、日本固有の文化を正しく理解し、そしてそれを次の世代に受け渡せるのも、実は日本人でしかない。
ましてそれは権利ではなく、「義務」だと私は思っていて、この仕事を始めてすでに十数年が過ぎたが、当時よりはよくなったが、まだまだ浸透していないように感じるのは、私だけだろうか。
(資)文化財復元センター おおくま