ある寺の天井画
2年前に復元したものである。
ある人を介し、復元したものであるが、そのお寺、数年前に本堂を建て替えたとの事。
その折、解体した本堂の天井画が捨てられていたという。
元教師の住職は、人柄のいい人で、そのまま天井画が捨て去られるのが忍びなく、夜中にこっそり拾い集め、段ボールに入れ隠していたという。
住職はそれを何とか復元したいと、あるプリンターの会社に勤める檀家の方に、 相談したという。
それがまわりまわって、うちに来た。
住職は自腹を切って、いくつかの天井画を復元した。
しかし、全部で80枚ほどあるという・・・
費用は莫大となり、住職一人の力ではできず、檀家代表に相談したが、なかなか理解されず、残りの貴重な天井画は眠ったままである。
この復元の最大の特徴は、煤にまみれた天井画と、そこに描かれている墨線は、成分が同じ炭素であり、赤外線を使っても分離できない。
ところが、 奇跡が起きた。
幾度も試行錯誤を繰り返すうちに、理屈は良くわからないが、なぜか墨線がきれいに分離した。